CONTAkun’s diary

北海道コンサドーレ札幌サポでございます

ルヴァン・ゲリオン⑦

Episode Ⅶ 「北の果てで愛を叫ぶ」 「新聞届きました。ありがとうございます」 メールには確かにそう書いてあった。 いや、いや、いや。 あの新聞は目下、絶賛行方不明中。 今頃はたぶん、ゴミとして街の処理場に。 全ては自分のだらしなさ、からなんだけど…

ルヴァンゲリオン⑥

Episode Ⅵ「父との約束」 (Episode I・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴからつづく) 僕は父からのメールに激しく驚愕していた。 2019 年の年の瀬も押し迫った12月27日。 僕の心の中にはこの数日間、北の地で言うところの「ガス」がかかっていた。 その「ガス」の理由は父との約束…

ルヴァン・ゲリオン⑤

Episode Ⅴ 「男の戦い」 (EpisodeⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳからつづく) 「さあ、いいですか。それでは考えてきた文字を書いてみましょう。いきなり半紙に書くんじゃなくて、一度お家から持ってきた新聞紙で練習してから、書きましょうね。わかりましたか?」 「ハーー一イ…

月はどっちに出てますか?

凍てつく寒さのホームタウンで 「じゃぁ来シーズンね」と「握手」を交わしたあの日からもう、何日が経ったのだろう。 それからサンタがやってきて、年が明け、ゲーフラを作り、深井が濃紺のユニであらわれ、荒野と武蔵が自転車にのり、Twitterでワニが死んだ…

バトン

その日のホストは確かに赤と黒の服を着た親父だった。 どこか得意げに大谷地駅から道のりをゲストに案内する父は、はやる気持ちが歩くスピードにあらわれてしまい、まだ小さかった娘を抱きながら歩く僕とそのマイペースなスピードに懸命についていくもう一人…

ルヴァン・ゲリオン ④

Episode Ⅳ 「風と沈黙。」 (EpisodeⅠ・Ⅱ・Ⅲも是非) 2019年12月某日。 「水」は高い所から低い所に流れる…。 これが自然の摂理だとすれば、この家の摂理は妻から夫への「圧」が流れる。 それは決して妻が高い所にいる訳では無く、 夫が低い所、それも自からの…

ルヴァン・ゲリオン ③

Episode Ⅲ「アスカ、今日か」 (Episode Ⅰ・Ⅱ 未見の方は是非…) 「ネネ、新しい「ケシキ」のシキはムラサキシキブのシキ?」 不意の質問に寝不足もあってか、質問を理解するまで時間を要した。 昨日は1時頃までちょっと参考書を開いていて、でもその割に今朝…

ルヴァン・ゲリオン ②

Episode Ⅱ 「使徒、襲来。」 (Episode Ⅰ 未見の方は是非に) きっとアイツの実家はトランプがなんかの拍子になくなってしまっただろう。 それもおそらくアイツの仕業だろう。 そして部屋の掃除のたんびに神経衰弱ゲームを 靴下でやっていたんだ。 小学生の靴…

ルヴァン・ゲリオン

Episode I. 「見知らぬ天井」 今朝、目を開き見上げた空は いつも僕の事を見守っている空とは違う。 この無機質な「色」と「模様」の天井。 いつも僕の心の蝋燭にそっと火をつける 「赤」とは限りなく程遠い色。 かといって、僕にいつも落ち着きを与えてくれ…

青を拗らせ、赤黒を語る。

「次は、場末のスナックにご案内」 そう言うと、2人は高校生の時のように悪い顔で私を見て立ち上がった。 サッポロビールが飲める店。 という私のただ一つ条件で彼等がドームから私を拉致した場所は焼肉屋だった。ビールを飲み、肉を食べ、そして高校生の時…

フットボールの思い出。

僕等は2時間目と3時間目の休み時間 少し早い食事を取る。 もうその時間が時間割に 書かれた昼休みかのように。 アスリートにとって食は大事な要素だって事を 育ちざかりの僕達は誰に教わるでもなく知っていた。 3時間目の始業を知らすチャイムは さながら「…

質問と応援と小宇宙からの帰還。

「ねえトト、なんでコンサの試合をドームとか厚別で見ると楽しいのかな?」 キミは時折、本質をつく質問をしてくるな…。 そしていつも私が最高の答えを探し、心の小宇宙を遊泳している間に私の前から消えさっている。 現に今だってそうだ。 さっさと自分の部…

トトの恩返し。

私は夜、部屋に篭る… 家族に覗かないでと言い残し。 私は夜、旗を織る… 美術が3年連続1の中学時代を送った男が。 私はやがて、恩返しをする…。 最初は威勢がいいが、後から怖気付く男が。 「トトは友達いるの?」 そう息子に聞かれたのはいつだったろう。 多…

ある夜の妄想。

「お父さん。娘さんを私に…」 妄想である。得意なのである。 妻は留守。息子は自部屋でユーチューブに夢中だ。 リビングには私と娘の二人きり。 静かだ…。 最近二人きりの会話はめっきり減ってきた。 この静けさから逃避するために私はいつものように妄想に…

歳下の先輩。

先輩は僕に アドバイスをくれる。 具体的な事は言わないけどちゃんと答えを導いてくれる。だから僕は夢から覚めるとスッキりしているんです。 夢の中でしか話はさせてもらってないですけど。 そんな竜二先輩は僕より4つ歳下の先輩っす。 約束を守る男… 入団…

映画館のザワザワ感…。

小学生の頃、親父に連れられて映画館に必ず見に行く作品があった。 『ドラえもん』。 毎年公開されたこのアニメ。 今思えば私に見せたかったんじゃなく単純に親父が見たかったんだと思う。 当時映画の原作版が少年誌に毎月連載されており、親父と私はストー…

90分以外。

決して恵まれているとは言えない身躯のエネルギーを目一杯ボールに乗せ放たれた一矢が敵のネットに触れた刹那、彼はいつもそのゴールに貢献した者の許へ走り出す。 スルーパスを出した者、クロスを送り込んだ者。そしてそのゴールを今か今かと待ちわびていた…

人生を乗っける…

「他に楽しみないのかね…」 彼は私に向けてなのか独り言なのかしいて言えばその真ん中くらいの感じで呟いた。 あれはたぶん高校の部活終わりの定食屋。 店の片隅に無造作に置かれた14インチのテレビ。 そこには中年男性が巨人のユニフォームに身を纏い「打て…