CONTAkun’s diary

北海道コンサドーレ札幌サポでございます

ルヴァン・ゲリオン

Episode I. 「見知らぬ天井」

 

 

今朝、目を開き見上げた空は

いつも僕の事を見守っている空とは違う。

 

この無機質な「色」と「模様」の天井。

 

いつも僕の心の蝋燭にそっと火をつける

「赤」とは限りなく程遠い色。

かといって、僕にいつも落ち着きを与えてくれる「黒」でもない。

 

いったいこの天井は何色と表現すればいいんだ?

 

でも僕はもともとこの世の中の色について的確に表現できるスキルを持っているのか?

 

じゃあ、模様は?

 

僕を子供に戻してくれて、胸の奥から熱きモノを引き出すあのフラッグ、ゲーフラとは似ても似つかない模様。

哀愁と情熱とも決して握手をしたがらない、ただただ冷たい温度のこの模様。

 

「どこ…いったいここは?」

 

僕が今明日ひとつだけ言える事は

僕がいつも見ている天井では無いって事だけ。

 

なんだか胸騒ぎがしてくる。

そう、大事な試合で早いうちに先制をしてしまってなんだか落ち着かないあの感じ…。

 

昨日何かあったんだ。思い出せ。

僕はなぜこの天井の下で目を覚ましたんだ…。

 

「見ちゃダメだ!」

心の声が響く。

なんでそう思うんだ?

上を見ちゃダメなような気がする。

目を向けちゃダメだ‼︎

 

あの、結果を知ってるかのような

アディショナルタイムで追いつかれる

試合の感じが僕の胸を支配する、

良からぬ思い出…。

 

そうだ。

この天井から目を離さなきゃ。

そうしないとダメなんだ。

 

いつも何か嫌な事があると僕はそうしてきた。

天井から目を離すんだ。

この重い体を横に向けるんだ。

 

ん?。人?

紛れもない…人がいる。

誰?…この人。

 

目を閉じている。

死んでるのか…。

 

いや。聞こえる寝息が。

寝ている。険しい顔で。

険しい顔。眉間のしわ。

どこかで見た事のある風景。

毎朝、鏡にうつる…、

 

そう、僕だ。僕の顔だ。

自分自身の不機嫌さを他人に感じとって欲しい顔。

まるで母親に訴える赤ん坊のような。

そうだ、僕の不機嫌な時の顔だ…。

 

赤ん坊?

確かに今の僕の顔よりひとまわり

小さいこの人の顔。

顔の小さなこの人。

僕の…小さい頃の顔?

昔の僕…。

何にも、汚れてなかった自分‼︎

…違う。

これは僕じゃない。

そんな事ある訳ない!

僕の前で眠る僕。

いや、僕なんかじゃない。

違う‼︎

僕じゃない!

 

 

 

…息子だ。僕の息子だ。

 

 

そうここは息子の部屋だ。

そうだった。

 

昨日、僕の部屋に奴が来たんだ。

逃げ回っていた僕の部屋に年末に

とうとう来たんだ。

 

ダメだ。

あいつに会わないように家を出て

外に行きゃな。

起こしちゃダメだ…。

 

怖いけど   

起こしちゃダメだ‼︎

早く外の世界へ出てこう。

行きゃなきゃダメだ…。

外の世界へ。

 

            …To Be Continued